超えられない壁があったとしても、壊してみせる!

上野香織・高橋斐子・及川貴樹 上野香織・高橋斐子・及川貴樹
(第13回公演『Make or Break!〜風の声を聞く者たちへのレクイエム』によせて/2011.7.23収録)

※インタビュアー:小笠原尚子    

「TCTの芝居は、稽古場での熱が本番の舞台上にそのまま出てるんだな」って。

このたび、上野香織ちゃんがTCTに入団してくれまして、 それによって、及川・高橋・上野の3人による『チーム新人』というチームができたらしいと聞きました。 リーダーの及川貴樹さんにお伺いしますが、チーム新人の活動内容はどんな感じなんですか?

【及川】 まずTCTをよく知ること。次に、舞台を楽しむこと。 あと、新入団員の香織ちゃんについて、みんなに深く知ってもらうことです。

【上野】 そんな狙いがあったんですね。

【及川】 僕、TCT35の選抜から漏れたので、今後はチーム新人として頑張ろうと思いまして。

TCT35ってそもそも何なんですか?

【及川】 TCT35は“TCTの頑張るオヤジたち”というテーマで活動する、今年35歳を迎える人限定のグループで…。

メンバー構成は?

【及川】 遠藤(雄史)くん、布田(智章)くん、福士(晴彦)くん。 僕は選抜に漏れてしまいまして。

なんで漏れたんですかね?

たぶん若さでしょ。あの3人にはない若さがたぶんあるんだと思う、僕には。

【高橋・上野】 いやいやいや!!(笑)

他の2人が全力で否定してるんですけど(笑)。
…で、まぁ、そんなかんじでTCT35に入れなかったので、3人で『チーム新人』というチームを作ったと。

【及川】 TCTに反旗を翻して(笑)。 「TCT35がなんだ」と。「おれたちが新人だ」と(笑)。

じゃあ、そんなチーム新人に今回新たに入った香織ちゃんについて、クローズアップしていきましょう。

【及川】 まずは自己紹介からお願いします!

【上野】 はい、上野香織といいます。 みんなからは『かおりん』と呼ばれているので、ぜひそう呼んでください!

【及川】 香織ちゃんは、どういう経緯でTCTのことを知ったの?

【上野】 盛岡劇場主催の『演劇基礎講座』に参加したときに、 スタッフとして参加してたTCTの小笠原(尚子)さん、池田(幸代)さんと知り合ったんです。 で、そのワークショップがとっても楽しかったので、「ゆくゆくはどこかの劇団で演劇やるぞ!」って思って。

【高橋】 それはいつぐらいの話?

【上野】 2年前ぐらいですね。

【及川】 じゃあ、それまでは全然演劇をやったことはなかったんだ?

【上野】 はい、やったことはなかったんですけど、父の影響で、観劇はちょこちょこ…ってかんじですね。

【高橋】 TCTの芝居を実際に観たことは?

【上野】 『Rush! rush! Rush!』『腕呼争場』を観ました。

観てみて、どうでしたか?

【上野】 熱いな〜と思いました、とっても。 熱くて、極彩色で、派手で、エネルギッシュだなって。

【及川】 じゃあ、実際に入団してみて、どんな感じ?
なんか、こう「舞台で見たときは熱い人たちだと思ってたけど、実際はこいつら超つまんねー」とか(笑)。

【上野】 そんなことは全然ないです!(笑)
えっと、芝居を観てて客席に伝わってくる熱が、稽古場の時点でもう既にあるんだなって思いますね。 TCTの芝居は、その稽古場での熱が、本番の舞台上にそのまま出た芝居になってるんだなーと。

なるほどー。
…そういえば、今更ながら、あやちゃんがTCTに入ったきっかけについて、まだ聞いたことなかったね。 ぜひ教えてください!

【高橋】 インターネットで盛岡の劇団を探してて、たまたまTCTのホームページを開いて見て、「年齢が近そうな人たちがいっぱいいるなー」と思って…。 それで、ちょっと見学してみたいなと思って、見学に来て、そのまま入団しちゃいました。

【及川】 あやちゃんは、神奈川に住んでた頃は、芝居はやってたの?

【高橋】 芝居らしい芝居はやってないよ。演劇自体、2〜3本しか見たことなかったから。 映画のエキストラとかやったことはあるんだけど、その程度。ちゃんと演劇をやるのは、ここ(TCT)が初めて。

【及川】 そっかぁ。

【高橋】 じゃあヨシッキーにも逆に質問しちゃうけど、はじめて後輩ができて、先輩になってみて、どう? やっぱり心構えとか違う?

【及川】 そうだね、これまで新人ということで、いろいろ自由にやってたところがあるんだけど… しっかりしなきゃな、っていう気持ちになってるかな。

あやちゃんはどうですか?…といっても、あやちゃんは既にヨシッキーという後輩がいるわけですけど。

【高橋】 あ、でも、ヨシッキーは後輩っていう感じがしない(笑)。
たしかに入団時期は数ヶ月違うんだけど、初舞台はほぼ一緒だったから、とくに後輩っていう意識はないんだよね。 先輩・後輩というよりは、同期っていうかんじかな。

【及川】 今回こうやって年下の後輩である香織ちゃんが入ってきたことで、「お姉さんにならなきゃ!」みたいな気持ちはある?

【高橋】 特になし!(笑)
…いや、だってね、自分自身、スタッフとしても役者としてもまだまだだもん。 だから別に「年上だから」「先輩だから」って構えるんじゃなく、一緒に楽しんでいけたら、向上していけたらいいなっていう気持ちのほうが強いかな。

そんな先輩たちの思いを受けて、香織ちゃん、どうですか?

【上野】 …がんばろうと思います!

【高橋】 …3人の中で、香織ちゃんがいちばんシッカリしてるかもしれない(笑)。

【及川】 チーム新人、今日からリーダーは香織ちゃんで(笑)。

【高橋】 ここにきてリーダー変更?

下剋上が起きた!リーダーから一気にしもべになった!

【及川】 常に『しもべキャラ』ですからね僕は。

【高橋】 いじられキャラだよね、歳とか関係なく(笑)。

TCTの稽古場は、楽しくて、リフレッシュできる、大切な場所。

【及川】 ところで香織ちゃんがTCTに入団して1ヶ月経ったわけだけど、 1ヶ月経ってみて、いま香織ちゃんから見たTCTって、どんな劇団?

【上野】 なんか…毎週稽古に来るのが楽しみになる劇団です。

【高橋】 実際、学校行ったりバイトしたりしながら演劇やるのって、大変じゃない?

【上野】 うーん…でも、たとえば学校行ったりバイト行ったりして、 「あーダメだ、心が折れそう」ってなった時に、 「でも今週末は稽古があるから頑張ろう!」って思えば頑張れるっていうか。

【及川】 素晴らしい好循環だね! じゃあ、あやちゃんにとってTCTはどんな劇団?

【高橋】 私は他の劇団の稽古とか見たことなくて、TCTの稽古しか知らないからなぁ…。 うーん…よく動く劇団?(笑)
ヨシッキーはどう?

【及川】 TCTは無駄に元気だよね(笑)、いい意味ですごくエネルギッシュ。 年齢層はそんなに広くないけど、それでも、30代半ば〜20代前半まで居る中で、 みんな完璧には同じ世代ではないんだけれども、それでも世代のギャップさえも楽しみながら活動できる劇団なのかなっていうのもあるし。
あと、香織ちゃんと同じように、たとえば仕事で落ち込んだりしたときでも、 稽古場に来て声を出したりとかしてると…やっぱりその瞬間っていうのは、頭がリフレッシュされるし、それだけに集中できる。 なにかに集中できる時間を持つっていうのはすごく大事だと思うので…稽古場での時間は、すごく大事な時間になってるのかなって思う。
あやちゃんも、仕事やりながら稽古するの、大変だったりしない?

【高橋】 体力的にはきついかな、やっぱり。

【及川】 まだ20代なのに(笑)。

高橋斐子 【高橋】 そうだけどさ(笑)。
この間転職したばっかりで、あんまり慣れてない仕事をしてるから、やっぱり体力使う。 それでまた稽古で体力使って、大変だけど、でも楽しい。 大人になってからのこういう集まりみたいなのって、学生の部活とはまた一味違う。 こういう場があるっていうのはやっぱり素敵なことだし、自分にとってすごい大事な場になってるな、と。

じゃあ、実際入団してみて、入る前に抱いてたTCTのイメージとちょっと違うな〜って思うことはありましたか? 「演劇の世界ってこれが常識なの!?」とか「この人は舞台上では○○だけど実は○○なんだな」とか、発見したこともいっぱいあったかと思うんですが…。

【及川】 俺、最初に観たTCTの芝居が、殺陣とかアクションの全くない『あの角を曲がれば』だったので、 TCTが殺陣を得意とするなんて全然知らなくて。 で、入団してまず「殺陣やアクションをする」って聞いて、すごくびっくりした(笑)。

知らなかったんだ!?

【及川】 ぜんぜん知らなかった(笑)。
あと、入団してすぐの時は、演劇用語とか全然わかんなくて。 滑舌練習の「あいうえお いうえおあ うえおあい えおあいう おあいうえ」も、 なにをどう言ってるのか分からなくて、「この人たちは何を言ってるんだろう?」と。 それが「あぁ、言葉が順番にひとつずつずれていくんだ」っていうのを理解したのは、入団して1ヶ月ぐらい経ってからだった。 それまでは隣の人を見ながら、口パクっぽくなりながらやってたもん(笑)。

【高橋】 私は、前に演劇スクールみたいなものに通ったことがあったから、 TCTの稽古のやりかたはスクールとそこまで変わらなかったので、あんまり戸惑いはなかったかな。 ただ、『ふきんぞうきんゲーム』とかのゲームをやる時のテンションにびっくりした!

みんな一生懸命にやるからね、ゲームも。

【及川】 それから、(菅野)逸平ちゃんが年下だったっていうことにびっくりした(笑)。 『あの角』を観た時のイメージが強かったから、「この人、もしかしたら本当に葬儀屋なのかな」って思ってて。

何歳ぐらいだと思ってた?

【高橋】 30代?

【及川】 30〜40くらい(笑)。

…本人が聞いたら泣いちゃうかもね(笑)。 香織ちゃんはどう?

【上野】 及川さんは、舞台上でのキャラクターどおりの人だなって思いました(笑)。

どのキャラ?

【上野】 おっちゃん(『Rush! rush! Rush!』)も、イソフラボン(『腕呼争場』)も。 「想像どおりの人だ!」って。

他の人は?

【上野】 あの、なんか…(阿部)菜摘さんが、本当は怖い人なんじゃないかと思ってて。

【及川】 ほんとは怖いんだよ〜?(笑)。

…あとからボッコボコにされるよ?(笑)

【上野】 キツそうな人だなーって思ってたんですけど、会ってみたら全然そんなことなくて、すごく嬉しかったです。

【及川】 あやちゃんについては、どう?

【上野】 なんか、あんまり話さなそうって思ってたんですけど…。無口なんだろうなって。 でも、ただ人見知りなだけなんだってわかりました。 それに、おちゃらけるところはおちゃらけるんだなって。

【高橋】 他には?舞台上と普段とのギャップがすごいなーっていう人。

【上野】 そうですね…逸平さんは、もうちょっと喋る人なのかなって思ってたら、逆に「あれ?」って。

実はTCT、意外にもみんな人見知りなんですよね。

【及川】 そのギャップがいいんだよ(笑)。

ところであれから2人はどうなったの?

そういえば、ヨシッキーは前回の対談で、 布田さん発案の「同い年なんだからフレンドリーに呼び合おう」という企画のもと、 お互いに呼び捨てで呼び合うことを実践してみたわけですが… あれ以来、2人の関係性はどうなんですか?

【及川】 あれ以来かなりフレンドリーですよ(笑)。

【高橋】 あれ以来、布田さんはヨシッキーのこと、なんて呼んでるの?「よしき」って呼んでる?

【及川】 あんまり呼ばないかなぁ…。 でも、名前で呼ばないほうがさ、逆に、親しい感じがしない? ほら、夫婦だと、奥さんのこと名前で呼ばなかったりするじゃん。

「おい!」「ちょっと!」みたいな(笑)。

【及川】 それだけ親密になったっていう証じゃないかなと。

じゃあ、他のTCT35のメンバーとはどうなんですか?呼び捨てしたりされたりする?

【及川】 うーん、呼ばないし、呼ばれないかな。 むしろ『ヨシッキー』っていうニックネームが広まってくれたから、そっちで呼ばれる。

じゃあ、例えば、遠藤さんのことはなんて呼ぶの?

【及川】 遠藤…様?

なんで『様』?(笑)

【及川】 いや、『遠藤くん』だな。たぶん照れくさいんだと思う、フレンドリーに呼ぶのが。

「おい、遠藤!」とは呼べないと。

【上野】 呼べばいいのに(笑)。

【高橋】 「おい、遠藤!」って(笑)。

【及川】 いや、このくらいの歳になるとさ、なかなか…。昔からの友達は名前で呼べるけれども…。

(そのとき、ちょうどいいタイミングで通りかかる遠藤氏)

【遠藤】 ?

【及川】 ……おい、遠藤!

【遠藤】 …

(怖い顔で近づいてくる遠藤氏。一同大爆笑)

【及川】 ちょ、怒ってるんですけど、怒ってるんですけどぉ!!怖い!怖い!!

【高橋】 ただいま代表が威嚇中です(笑)。

【上野】 下アゴが出てる!怖い!(笑)

【及川】 もー、この対談見たらみんながTCTのこと嫌いになっちゃうでしょ! そもそも、呼び方でフレンドリーさを計っちゃいかん、おまえら!

呼び方だけでは人間同士の関係性は計れないということを、いま、身を挺して教えてくれたと(笑)。

【及川】 そう!(笑) ほら、演劇やってる人同士って、友達っていうよりは『同志』に近いのかなーっていうのがあるから、 別に呼び方は何であろうといいかな〜と。 …俺、今、すごくイイこと言った!(笑)

奇想天外な中にも『人間臭さ』が感じられる芝居だと思う。

そういえば、ヨシッキーは、前述の布田さんとの対談のとき、最後にボロが出て…。

【及川】 なんだっけ?

うっかりオネエ口調が出ちゃって、 「そのうちオカマバーのママとかそういう系の役が来るんじゃないか」という話になってましたが、 この流れで、今回の役柄について伺いたいんですけど(笑)。
今回の公演『Make or Break!』でのヨシッキーは、どんな役ですか?

【及川】 …オカマですね(笑)。

ついにオカマの役が!

【及川】 ついに来たな、と。
あと、今回は、他の人と絡む場面がけっこうありそうなので、それがすごく嬉しいです。 これまで、誰かと普通に会話をする役をやったことがあんまりなくて、 自分の世界だけで演じていられる役が多かったもので。 今回すごく、他の人との絡みがいっぱいあるので、楽しみだし、難しいなって感じる部分もあるし… なんか、新たな挑戦っていう感じですね。
2人はどうなの?どんなことに注意しながら演じようかなーとか。

【高橋】 私は、クールな感じの役どころ。 …うーん、どう演じてみたいか、自分でも未だによくわからないんですけど… でも、クールでいくなら、ユッケ(山田真由香)が演じる『まどか』もクールな感じの役だと思うから、 かぶらないようにできたらいいなとは思いますね。

【及川】 でも、あやちゃん、喋りさえしなければ、クールなイメージだよね(笑)。

【高橋】 うーん、よく「弱そう」って言われるかな。喋らなければね(笑)。

【及川】 香織ちゃんはどう?

【上野】 私はキュートな役なので、キュートな感じに寄せていけるように、ガムシャラにがんばりたいと思います!

【高橋】 香織ちゃんの役柄は、普段の香織ちゃんのイメージに近い気がする。キュートっていう部分で。 なんか、香織ちゃんって、ふんわりしてる可愛らしさがあるから。 キュートな役、すっごく合ってると思う!

【及川】 香織ちゃんにとっては、『演劇基礎講座』を除けば、今回が初めての舞台だもんね。 今回の公演は多分、香織ちゃんにとって、ずっと印象に残る芝居になると思うよ。
初舞台って、すごい印象に残らない?

残りますねー。

【及川】 俺は『Rush! rush! Rush!』が初舞台だったけど、公演が終わった時、すごく寂しかった。 もう『おっちゃん』を演じることはできないんだって思ったら、もう、ほんと寂しくて。 公演が終わった時に、すごく…なんていうのかな、 充実感もあったんだけど、ものすごく寂しさもあって。 だから、初舞台、初めての役は大事にしたほうがいいと思う!

【高橋】 先輩らしい!!

【及川】 …なんてね、俺もそんなにいっぱい経験積んでるわけじゃないんだけど、 今回は香織ちゃんの初舞台祭りなので、張り切ってアドバイスしてみた(笑)。

【上野】 私、まつられてる!(笑)

じゃあ、実際に今回の脚本を読んでみての感想をお伺いしましょう。
今回もまたTCTらしいちょっと奇想天外な話で、現実では絶対ありえないようなストーリーではありますが… 読んでみてどうでした?

【高橋】 1ページ目のト書きを読んだとき、とりあえず「これ、どうやって表現するんだろう」って思いました。

たしかに。 『Make or Break!』はデリバリー(出前)の話で、みんな50ccの原付で出前するわけですが、 そのスピード感は現実の出前ではありえないぐらいのレベルで、 一体それをどう表現していくかは非常に注目ですね。

【及川】 僕は…途中まで読み進めていったら、自分の台詞に 「〜わよ」っていう言葉がでてきて「………“わよ”って何!?」って(笑)。
あとは、あやちゃんも言ったように、バイクだったり、ト書きで表現されてる様々なシーンがあったり、 それをどうやって舞台上で表現するんだろうっていうのはすごく楽しみ。 これをもしほんとに物理的に舞台上で出来ればそれはそれでいいんだろうけど、 物理的にできないとしたら、それをなんらかの方法…表情とか身体表現とかでやらなきゃいけないわけだから。 なかなか今までの芝居では経験したことがなかったような感じかな。

ここ数日で、具体的な動きの演出が徐々についてきて、全貌が明らかになりつつありますが…。

【高橋】 とりあえず「疲れそうだな、足にくるなコレ」っていうのはね。

【及川】 本当にそう思うよね、まず、

【及川・高橋】 「最後までもつかなぁ」っていう(笑)。

声をそろえて言っちゃった(笑)。

【及川】 俺たちいつも舞台上に3人セットで出てるんだけど、この2人は俺より若いわけじゃん。 歳の差を感じさせないつもりではいるけれども、この2人についていけるのか?っていう心配はある。

【高橋】 だって、稽古場で、ヨシッキーひとりだけハァハァいってるの! 汗だらだらでハァハァハァハァいいながら(笑)。

ヨシッキーと2人の間に、超えられない壁が…。

【及川】 いや、ないですよ。 仮にあったとして、終わるまでに壊してやる!

【上野】 おぉ〜!

【高橋】 かっこいい、さすがリーダー!

壁を壊したいという宣言を受けて、香織ちゃんはどう思う?

【上野】 壁、壊していいと思います!がんがん壊しちゃって!

そんな香織ちゃんは、稽古してみてどう?みんな「疲れる、疲れる」って言ってるけど…。

上野香織 【上野】 まず、いち読者として脚本を読んでみたときに、「これはおもしろい!」って思いました。 1ページ1ページめくるのがすごい楽しみで。 で、「これを舞台上で実際にやるんだな…疲れるな」って思いました(笑)。 これを、舞台上でどう動いて、どういうふうに伝えるのかとか、 そのときはまだそこまで意識がまわってなかったんですけど。
で、実際に稽古に入って、最初のうちに「ものすごく疲れるだろう」っていう覚悟ができてたので、 今のところはまだ大丈夫かなっていう感じはあります。 これから一生懸命シーン作りをして、稽古もいっぱいして、 それで、ラストシーンまでに足が疲れてもげてなきゃいいなって思います。

もげるんだ(笑)。

【高橋】 でもさ、今はまだシーンごとに区切って稽古してるからいいけど、 これを最初から最後まで通してやったらどうなるだろうっていう不安はある。 いつ袖にハケれるのか、いつ休憩取れるのかっていう。

【及川】 疲労のあまり、2ステージ目には人が減ってたりして(笑)。

かわりに違う人が出てたりして(笑)。

【上野】 あと、稽古してて「自由に動いてみて」っていざ言われると、すごい難しいなって思いました。 私、「ああして、こうして」って言われないと出来ないところがあるから、 そこはこれから稽古を通して直していけたらなって。

【及川】 それは多分みんなそうだよね。 「好きなようにやってみて」とか「自分のイメージでやってみて」っていうのは、 多分みんな難しいって感じると思うんだ。 逆に「こういうふうにやって」って言われたり、 ある程度しばりがあったほうが動きやすかったりするんだろうと思うんだけど、 やっぱりそこは自分のイメージをしっかり持って、楽しんでいかないといけない…っていうと変だけど、 楽しめるようになりたいなっていうのはすごいあるかな。 「どうよ、俺!」みたいな感じに。

【高橋】 うんうん。他の人たちみたいに、いろんな表現ができればいいなーと思うけど、まだまだ壁は高くて。

超えられない壁が…。

【高橋】 壁が高すぎて向こうが見えない(笑)。難しいですね。

そんなチーム新人から見た、この芝居のみどころはどのへんにあると思いますか?

【高橋】 やっぱり、スピード感ですかね。

【及川】 うん。あと、けっこう、やってることはメチャクチャっていうか…、

【高橋】 現実ではありえないことやってますからね。

及川貴樹 【及川】 うん。ありえないことやってるんだけど、 そんなありえない中にも『人間臭さ』っていう要素がしっかり入ってるなって。 「こういうことを伝えたいんだ」っていう一本筋の通ったところを、うまく表現できればいいのかなと。 そういう人間臭さゆえに、多分これからいろんな駆け引きが出てくるんじゃないかと思うので、 そこは凄くみどころですね。

【上野】 あと、フォーメーションとかですかね。 たぶん見たら鳥肌が立つだろうなって思ってます。実際にやりながら。

追いつけ追い越せの攻防が、あの狭いステージの中でどうやって繰り広げられていくのか、注目ですね。 では最後に、この対談を読んでくださった方々に向けて、次回公演『Make or Break!』への意気込みを!

【上野】 観てくれる人が居ないと出来ないものなので、観てもらえる為に頑張りたいと思います!

【高橋】 とにかく楽しんでもらえるように私たちも頑張るので、ぜひ劇場に来て、笑ってください!

【及川】 今回すごく、風とか速さとか、そういったものを感じられる舞台になると思うし、 そういったことを、舞台上でどういうふうに動いて感じさせてくれるのかな?っていうところをぜひ期待して、 観に来ていただければ嬉しいなと思います!

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