TCTは、ずっと憧れてた劇団でした

池田幸代・佐々木香織(第9回公演『腕呼争場』特設サイトより転載/2009.4.26収録)

TCTの公演を観て「こういう芝居やってみたいな」って思った

ではまず自己紹介を。

佐々木香織 【佐々木】 鴨南番役・佐々木香織(ささきかおり)です。今年22歳になります。
TCTに入って1年半くらい。TCTの舞台に立つのは、今回の『腕呼争場』で2作目です。よろしくお願いします。

【池田】 そっか、入団してまだ1年半なんだね。

【佐々木】 はい。自分でも、なんだかもっと長く居るような気がしてたんですけど。

【池田】 なるほどね〜。…じゃあちょっと私も喋っちゃおうかなー。
ソバーユ役・池田幸代(いけだゆきよ)です。今年26歳になります。
TCTに入って8年目、かな?

【佐々木】 ということは、10代のときに入団したんですね。

【池田】 うん、高校卒業と同時にTCTに入り、青春時代をTCTで過ごしたって感じかな。

芝居をはじめたのは、いつの頃からですか?

【池田】 芝居をはじめたのは中学の時なんだけど、本格的にちゃんと芝居をやるようになったのは高校からですね。

【佐々木】 私は、芝居に関わるようになった時期やきっかけって、あまりハッキリしないんですよね…。
中学の時は助っ人として文化祭の公演に参加したり、高校の時は演劇アカデミーとか演劇講座に参加したりしてて。
でも、本格的に演技の勉強を始めたのは、高校を卒業して専門学校に入学してからでした。当時は声優を目指してて、声優の専門学校に通っていたんですけど、「舞台もやりたいなぁ」ってずっと思ってて。

では、TCTに入ろうと思ったきっかけは?

【佐々木】 これはですね、幸代さんの弟・ケイジとの出会いがきっかけで。
中学生の頃からケイジと仲が良かったんですけど、あるとき、「姉がTCTに入団したから、一緒にTCTの芝居を観に行こう」ってことになって、第3回公演『宣戦布告』(2002年10月)を見たんです。で、「この劇団かっこいい!」って思ったのがきっかけですね。
それから長い月日を経て、今、TCTに入団したというわけです。

【池田】 私の弟のおかげです!

【佐々木】 そうですね(笑)。ケイジと仲良くなってなかったら、TCTを知ることなかったかもしれないし。ケイジの存在は大きいですね。

【池田】 そういうわけで、私、ずっと前から香織ちゃんのことは知ってるからね。それこそ香織ちゃんが中学生の頃から。

【佐々木】 そうですね、長いお付き合いですね。

では、池田さんのTCT入団のきっかけは何ですか?

池田幸代

【池田】 あ、私ですかっ!?(笑)
私は高校でも演劇をやってたんだけど、高校を卒業してもどこかで演劇をやりたいなーと思って、当時、色々な劇団を見学しに行ってたんです。その時にちょうどTCTの第2回公演『封身亞身』(2002年2月)を観に行って、「超かっこいい!」って思って。その当時は、舞台上で映像を使うっていう手法はかなり新鮮なことだったし、殺陣をやってる劇団っていうのも珍しかったのね。で、「こういう芝居、やってみたいな」って思って、勇気を出してしんべえさん(高崎美絵)に電話しました。ただ、緊張しすぎて、しんべえさんが「はい、もしもし」って出た瞬間に、電話切っちゃって(笑)。直後、慌てて掛け直しましたね。
あとは、ずっと前から遠藤さんのファンだったから、その遠藤さんが劇団を旗揚げしたっていうのを知って、TCTに興味が沸いたっていうのも入団理由のひとつかな。遠藤さんが劇団ゼミナール(盛岡で活動するアマチュア劇団)に所属してた頃から、舞台上の遠藤さんの姿をずっと見てましたからね。

【佐々木】 私も、遠藤さんの影響は大きかったですね。あと、ばんさん(福士晴彦)をはじめ、個性豊かな役者が多くて、素敵な劇団だなーって思って。ずっと憧れてた劇団だったから、入団できて本当に幸せに思います。

団員の8割が岩手大学劇団かっぱ出身者というTCTですが、お2人はその中でも数少ない「かっぱ出身者ではない団員」なんですよね。普段、そのことを意識する瞬間はありますか?

【池田】 そうだなぁ…今はそんなに強く意識することもないけど、入団当時はけっこう「かっぱ出身だから…」みたいなところが今より強くて。別に皆がそれを直接的にどうこう言ってきたわけではないけれども、でもなんとなく、そういう雰囲気を感じることがたびたびあって、正直、ちょっと「居づらいなぁ」って思うことはありました。
でも今は、まだまだ数は少ないけど、かっぱ出身じゃない人たちもちょこちょこいるから、昔ほどそんなに意識することもなくなったかな。香織ちゃんとか、かっぱ出身じゃない人がこうやって入団してきたときに、なんとなくこう…新鮮な感じっていうか、新しい風が入ってきたなっていう感じがしたんですよね。それって、すごくいいことだと思う。だから、かっぱ出身の人は勿論のこと、そうじゃない人たちにも、もっともっと入ってきてほしいなって思います。

【佐々木】 私は、そのことについてはそんなに意識したことはないかも…。
あ、でも、かっぱ時代からの付き合いで、10年以上いっしょにいる人たちだからこその絆を垣間見ることがあって、そういう時は、ちょっとうらやましいなぁって思います。だからといって、そこに壁とか隔たりを感じるわけではないし、居心地もいいし、特にそこまで疎外感とかは無いかな、って。

芝居の中のセリフが、仲間内で流行語になりました

TCTに入団してみて気づいた「TCTのいいところ」ってどんなところだと思いますか?

【佐々木】 そうですねー、まず、みんなすごく仲がいいっていうところがね、本当に素晴らしいと思います。
あと、役者ひとりひとりの素材がすごくいい、っていうか。入ったばかりでこんなこというのもなんですけど、ひとりひとりがすごくいいものを持っているなって思いますね。

【池田】 …どうしよう、香織ちゃんがあまりにもいいこと言っちゃったから私は何も言えないぞ(笑)。

逆に、「ここを直せばもっといい劇団になるのにな」っていうところは?

【池田】 団費をちゃんと払う。いや、ほんと、こまめに払ってください!!

【佐々木】 うーん、私が思うのは、ホウレンソウ(報告・連絡・相談)をもっとちゃんとしよう、ですかね。でないと、後々になってゴチャゴチャになったりするので。

【池田】 たしかにそうだね。…なんか香織ちゃんすごいな、いちばん若手なのに、ちゃんと見てるね!

では、TCTのこれまでの公演の中で、印象に残っている作品やエピソード等を教えてください。

池田幸代 【池田】 第5回公演『剣参推参』(2003年10月)の本番中に、客演で出ていた三浦貴之さんが、イントレ(足場)から落ちたこと! 楽屋でモニタ見てたら、ガタガタガタッ!て、すっごい音がして、「三浦が落ちた!三浦が落ちた!!」みたいな感じで。一瞬焦ったけど、なぜか楽屋はみんな大爆笑っていう…(笑)。
あとは、舞台裏の通路が暗いので、鳥目のしんべえさんが壁づたいにソロソロと歩いていって、誰かにぶつかって転んでみたり。
それから、第8回公演『小津の國の妖術師』(2008年10月)の時に、デラ(小野寺養修)がうっかり靴下を脱ぎ忘れて、袴の裾から靴下がチラチラ見えちゃってたり。「靴下はいてる!グレーの!丈の短い靴下!」って(笑)。

【佐々木】 ハプニング満載ですねぇ。

【池田】 けっこうね。毎回何かしらあるね。
あと、布田さん(布田智章)が、ゲネ(リハーサル)のときに、出るはずのシーンで出てこなかったり。自分の出るシーンじゃないって勘違いして、他のところで待機してたらしくて。しかも、なぜか、私が段取りを間違ったみたいな雰囲気になってて…。
布田さんはね、何気にけっこうハプニング大賞ですよ。

佐々木香織 【佐々木】 私が印象に残ってることといえば…団員になるずっと前、お客さんとして公演を観ていたときのことなんですけど。
確か『宣戦布告』だったかなぁ、ばんさん(福士晴彦)が舞台上で「俺はいつでも100%さ!」っていうセリフを言うんだけど、それがすっごくツボにハマッて。
それからしばらく、一緒に見に行った仲間内でそれが流行語みたいになりました。

【池田】 TCTから流行語大賞が出ちゃった!(笑)

【佐々木】 あと自分的にハプニングだったのは、『小津の國の妖術師』のゲネのときに、怪我しちゃって。お互いの不注意だったんですけど、アヤカシとして舞台に登場するとき、交差して入り混じりながら出てくるんですが、そこで他の人とぶつかっちゃって、受身も取れなくてそのまま床に顔から突っ込んじゃったんです。

【池田】 顎を強打したんだったよね。あのときは本当にびっくりしたよ。確かあの公演の時は、他にも誰か怪我してたよね。

【佐々木】 ホント、怪我が多かった公演でしたね。

【池田】 どんなに気をつけてても怪我することってあるけど、でもやっぱりね…注意しないとだね!

香織ちゃんとは呼吸が合わせやすいなーって感じてる

では、そろそろ、今回の公演『腕呼争場』について伺っていこうと思います。まず、今回、役者として選ばれたときの気持ちはいかがでしたか?

佐々木香織 【佐々木】 私、当初は、「今回の公演はスタッフオンリーで頑張ろう」って思ったんですね。どうしても挑戦したいことがあって、役者との両立は難しそうだったから。
でも、遠藤さんが「役者としても参加してみない?」って言ってくださって。香織ちゃんにやってもらいたい役があるから、って。そう言ってもらえたときはすごく嬉しかったですね。「香織ならやってくれるだろう」っていう期待をされているんだと思うので、がんばろうって思います。思いを裏切ってがっかりさせたくないし。
いろいろと自分の中で苦戦したりもしてますが、負けずに頑張っていこうと思います。

【池田】 私も、とにかく「頑張らなきゃ」って思いました。私は役者として、そんなにうまいわけでも器用なわけでもないんだけど、「池田ならできるだろう」って思ったうえで、遠藤さんは私にソバーユという役をあててくれたんだと思うから、その気持ちに応えられるように、しっかりやらなきゃ!って思いました。

【佐々木】 でも私、幸代さんにすごく憧れがあるんですよ。まず滑舌がいいし、喋ってることが聞き取りやすいし。いい声をしてるのがすごく羨ましい。私、自分の滑舌があんまり良くないことがコンプレックスだから…。

【池田】 実は私も、舌が邪魔してうまく喋れないんだ、いつも。でも、3年ぐらい前、國久さん(TCT団員・國久知総)に「とにかく練習すれば喋れるようになる」って教わって。それからちょこちょこ練習して…ちょっとした文章をひたすら読んでみるとか、そういうことを毎日試していたら、ちょっとずつ直ってきたかなー。

先日、遠藤さんのインタビューを収録した際に、「役者の皆さんにそれぞれ願うこと」というのを伺ったんですが…。ソバーユには『気迫』、鴨南番には『独り上手さ』ということでしたけれども、そのインタビューを読んでどう思いましたか?

【池田】 『気迫』…「はっ!」って言ったら校舎の窓が割れるみたいな感じ?『魁!!男塾』みたいな。とにかくなんか「気合だー!」みたいな(笑)。
なんか、こう…気合と心意気で乗り切りたいと思います!

【佐々木】 私は『独り上手さ』っていうことで、そういうところを発揮するシーンがあったりするんですが…。けっこう動きも重要になってくるので、毎日それは悩んでますね。どう動こうかなって。いろいろ考えてはみたものの、いざ皆に見てもらうって段階にはなかなかうまくやれなかったりもして、悪戦苦闘してます。
でも、絶対に演じきってみせます!

ソバーユと鴨南番には、ある意味独特の師弟関係のようなものがありますよね。

【佐々木】 「目上の人に仕えて、その人の為に頑張る」っていう感覚は、私としては、すごくよくわかるんです。たとえば普段仕事をしてても、先輩や上司の為に頑張りたいとか、そういう思いはいつも持っているので、鴨南番っていう役に対しても、その気持ちはとても理解できるし、すごくやりがいがありますね。
そういった意味では、鴨南番って、前回『小津の國の妖術師』で演じた『嬢台』とちょっと似たようなところもあるのかも。

【池田】 けっこうオバカさんな感じがあるよね、南番は。喧嘩っ早いし、すぐ妄想するし。
でも、バカな子ほどかわいいって言うしね(笑)。

【佐々木】 どこまでもソバーユ様についていきます!

池田幸代 【池田】 私は今まで、TCTの中では、どちらかというと鴨南番みたいな役のほうが多かったんです。誰かの手下とかね。だから、こういうふうな、みんなを統率するような役は初めてかもしれない。クールなのか何なのか、どんな人なのかがまだイマイチ掴みきれなくて、戸惑ったりもしてるけど、鴨南番がすごく、こう…「ソバーユ様ぁ!!」みたいな感じで、いつもちゃんと着いてきてくれるから、すごく頼もしいです。
なんか、「やりやすいな」って思いますね。香織ちゃんとは呼吸が合わせやすいなーって。

【佐々木】 ありがたいお言葉です。

そういった強い絆で結ばれている2人ですが、素の池田幸代と佐々木香織はお互いどんな人だと思いますか?

【池田】 香織ちゃんは、頑張り屋さんだなと思うなー。そんなに頑張らなくて大丈夫だよ、と思ったりもするけど(笑)。

【佐々木】 よく言われます、それ(笑)。

【池田】 で、すごくね、物怖じしないの。体はちっちゃいけど、すごいパワーがあるっていうか。なんか、今まではもっとおとなしい子なのかなと思ってたんだけどね。

【佐々木】 私から見た幸代さんは…凛々しい感じですね。

【池田】 まぁ!(笑)

【佐々木】 自分の弱いところを、決して人には見せないな、って。でも陰ではいろいろヘコんだりとかしてるのかなって心配になることもあります。
それから、他の人に対する気配りも凄いですしね。私が落ち込んでた時に、さりげなくメールくれた事があって、すごく嬉しくてその場で泣きそうになりました。

【池田】 どうしよう、私すごくいい人みたいな流れになってる(笑)。

本番を早く見てみたいな、って。自分も出るんだけど(笑)

さて、役者と並行してスタッフも担当しているわけですが、それぞれ自分のスタッフワークについても聞かせてください。

【佐々木】 えっと、衣装メイク担当です。今の段階では、高崎さんにかなり頼ってるところがあるんですが、これからどんどんお手伝いできたらいいなと思います。

【池田】 どんな衣装になるのか楽しみだね。

【佐々木】 そうですね。今回に限らず、毎回衣装はすごく楽しみですね。

【池田】 たしかに!それに、今回は学園モノだから…

【佐々木】 制服を着るってことですねぇ。

【池田】 20代の半ばだけど、着ちゃっていいかな(笑)。

【佐々木】 全然アリです!今になってコレを着られるなんて、ちょっと嬉しいですよね。わくわくしちゃう。

池田幸代 【池田】 まだイケるかな?どうかな?みたいな感じだけどね(笑)
私は今回も装置と小道具をやるんだけど、遠藤さんの脚本って「え、なにを作ればいいんだろう、この小道具」みたいなものがけっこう多くて。既製品っていうよりは、作ったりすることのほうが多いんだけど、今回も予想外な小道具がたくさんありますよー。通常15センチぐらいのものが、4倍ぐらいの大きさになっちゃったりとかね。でも、そういう奇想天外なものを作るのはけっこう楽しいです。
あと、今回は舞台美術を長内努先生にお願いしまして。初めて外部の方に舞台美術をお願いしたうえで装置を作るから、新しい雰囲気のTCTの舞台が作れるんじゃないかと思います。今からけっこう楽しみです。

では、まとめとして、『腕呼争場』のみどころ、特にもここをぜひ注目してほしい!っていうところを教えてください。

【池田】 これはねー、全部だ(笑)。
今までのTCTの芝居って、ストーリー中にどんなに馬鹿馬鹿しいシーンがチョコチョコあっても、最終的にはホロッときたり、「うわーかっこいい!」って思うような芝居だったんだけど、今回はね…とことんバカだな、と。セリフ自体も面白いし、演じる側もそれをすごく真剣にやるもんだから、さらに面白い。真剣にこんなバカバカしい芝居を演じるTCT、本当に素晴らしいと思います。
ちなみにこの腕呼争場、「こんな話を舞台にしたらいかが?」とプレゼンしたのは私です!まさか本当に採用されるとは思わず、びっくりしました。

佐々木香織 【佐々木】 「ココ!」って特定の箇所をあげるのが難しいですね。全部が全部おすすめ。「ここもいいよ」、「ここもいいよ」って、全部すすめたいです。
なんていうか…本番を早く見てみたいな、って。見てみたいと言いつつ、自分も出るんだけど(笑)。

【池田】 あと、今回の腕呼争場からWEBやブログがかなり充実してるので、ぜひそこにも注目してもらいたいです。WEBやブログがあることによって、公演前も公演後も『腕呼争場』の世界を垣間見て楽しめるのがイイですよね。ブログはみんなで更新してるので、1日1回、ぜひ見てもらいたいです。

最後に、ひとことずつ意気込みを!

【佐々木】 本当に、まだ盛岡演劇界に出てきたばかりの私ですけれども、今回の役は、本当に大事にしたい役なので、一生懸命がんばって、素敵なものを舞台で表現したいと思います。
ぜひ足をお運びください、よろしくお願いします!

【池田】 今回の公演は、すべてにおいて、今までのTCTとはちょっと違う感じで進んでいるので、きっと舞台の仕上がりも、今までとはまた違う良さが出てくると思います。そんなところも楽しみながら見てもらいたいです!
頑張るぞ!

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