“またTCTに出たい”って思ってた

柏木史江(フリー)・小川千晶(岩手大学劇団かっぱ) (第9回公演『腕呼争場』特設サイトより転載/2009.4.18収録)

もっと自分の好きなことに情熱を燃やしたくて、劇団かっぱに入りました

【柏木】 ちゃっきー来ないね。

「15分遅れます」っていう連絡が来てから、もう20分経過してますね。

【柏木】 じゃあ、もう、ちゃっきー抜きで対談しようか?(笑)

そうですね(笑)…まずは自己紹介をどうぞ。

柏木史江 【柏木】 ダッタン猿橋役・柏木史江(かしわぎふみえ)です。昔、劇団ネジに所属しておりました。今はフリーで活動しています。
(※劇団ネジ:現在東京で活動中の劇団『東京ネジ』の前身となった劇団)
現在32歳です。うお座のO型。ネガティブです(笑)。中学校で演劇部に入って以来、こうやって演劇を続けてます。
演劇部に入ったきっかけは…そもそも運動が苦手だったので、部活は文化部に入ろうと初めから決めてたんですが、その時に、姉に「どうせ入るんだったら大会のある部活にしろ」って言われて。じゃあ演劇にしようかなって思って演劇部に入って、ずるずると今に至ってます。
…あ、ちゃっきー来た!

(小川、ひたすら謝りながら登場)

じゃあ来たところで、自己紹介をどうぞ。

小川千晶 【小川】 あぁー、ほんとごめんなさい!!遅くなりました、すみません!
天笊ワサビ役・小川千晶(おがわちあき)です。岩手大学劇団かっぱと、劇団コトナコナタに所属しています。
普段は、『ちゃっきー』って呼ばれてます。千晶なのでちゃっきーです、皆さんも『ちゃっきー』って呼んでね!
芝居歴は、まず高校のときに演劇部で3年間。そのあと、大学3年からの1年間。トータル4年ぐらいですね。

演劇の世界に足を踏み入れたきっかけはなんですか?

【小川】 子供の頃から、踊ったり歌ったりするのが好きだったので、その延長で。

そういえば、聞いたところによると、ちゃっきーは劇団かっぱに入る前に、別なサークルに入っていたとのことですが。

【柏木】 何に入ってたの?

【小川】 何に見えますか?(笑)

【柏木】 えー、なんだろう…バレーボールとか?

【小川】 頭の一文字だけ合ってます。

【柏木】 ば?ば、ば、ば………乗馬?

【小川】 ピンポーン!馬術部だったんです。

【柏木】 へぇ〜素敵だねぇ!

どうして馬術部から演劇へ方向転換したんですか?

【柏木】 馬に蹴られたとか?(笑)

【小川】 いやいや(笑)。
んー、体力的にいろいろしんどかったっていうのもあるけど…。
ちょうどその頃に同窓会があったんですよ。そこで、自分の好きなことに一生懸命情熱を燃やしてる友人たちの姿を目の当たりにしたんです。その姿が、すっごく生き生きしていて、輝いて見えたのがとても印象的で。それに比べると、「私、なんか今あんまり輝いてないなぁ」って思ったんですよね。「私も、もっともっと、自分の好きなことに情熱を燃やしたい!」って。じゃあ、自分の好きなことって何かな…って考えたら、やっぱり演劇だったんです。
といったわけで2年続けた馬術部をやめて、3年生から劇団かっぱに入りました。

そんなお2人が今回、客演としてTCTの公演に参加してくださるわけですが。まずは、お2人のこれまでのTCTとのかかわりと、お2人から見たTCTという劇団のイメージについて聞かせていただけますか?

【柏木】 私は、TCT旗揚げのときから、いろいろと一緒にやらせていただいてまして。ちょうどその時期、私は自分が所属してた劇団(劇団ネジ)が解散したばっかりで、路頭に迷っていた頃だったんです。それで、これからどうしようかなーと思っていたときに、すごくいいタイミングで、旗揚げ公演『躯』(2001年8月)の客演のお誘いをいただき、さらにそれから何回か客演としてお世話になってるんだけど…。
当時、「この人たちすっごい若いなぁ」って思ってた(笑)。旗揚げメンバーの遠藤くんたち(遠藤雄史、福士晴彦、菅野崇、布田智章)とは同い年なのにもかかわらず。

【小川】 それはどのへんがですか?発言とか動きとか?

【柏木】 んー何だろう、いろんなことが「あー、若いな」って思ってた(笑)。女の人のほうが精神年齢が高いっていわれてるから、そのせいかもしれないけどね。とにかく、そのときの印象は「この人たち、私と同い年のはずなのに若いなー」でした。

ちなみに、ふみさんと旗揚げメンバーはいつの時点からお知り合いだったんですか?

【柏木】 実はそれまで、彼らとちゃんと話したことは無かったんです。「客演で出てくれませんか?」って遠藤君から電話かかってきたのが、たぶん、はじめて交わしたちゃんとした会話だったと思う。お互い、顔は知ってるんだけど、仲間っていう感じではまったく無くて。

なるほど。そんな出会いから数年を経て、今のTCTの印象はどうですか?

【柏木】 んー、若い団員がいっぱい増えてて、またやっぱり「若いなー」と。あ、でも、旗揚げメンバーに関しては、あいかわらず若い部分も勿論あるんだけど、でも「大人になったなー」って思います。シッカリしたっていうか…なんだろ、「社会人になったな」っていうか。立派な大人になったなと。むしろ私より立派な大人になったな、偉いなーって(笑)。

では、ちゃっきーはどうですか?

【小川】 私の高校時代の先輩に、すっごくTCT大好きな人がいたんですよ。その影響で、高校生の頃からTCTのことは知ってました。あと、TCTの団員さんは劇団かっぱ出身の方が多いってこともあって、かっぱの団員にとって、TCTってすごく身近に感じる劇団なんです。なので、今回呼んでいただけてとっても嬉しく思います。

実際、稽古に参加してみて、TCTの印象は?

【小川】 そうですねぇ…面白い人たちが多くて(笑)、毎日ほんとに楽しいです。 勉強になることも多くて、有意義ですね。

TCTの写真撮影は、毎回、過酷なシチュエーションです

さて、そんなわけでお2人はそれぞれ、過去にもTCTの公演に客演として出てくださっていますが、それについてのお話を聞いていきたいと思います。

【小川】 ふみさんは過去何作ぐらい出てるんですか?

【柏木】 役者として出てるのは、旗揚げ公演『躯』(2001年8月)、第2回公演『封身亞身』(2002年2月)、第3回公演『宣戦布告』(2002年10月)、第5回公演『剣参推参』(2003年10月)、番外公演『砂に眠るは剣か花か』(2004年7月)かな。で、しばらくインターバルがあいて、今回。

【小川】 すごい!たくさん出てるんですね!!
私は、前作の第8回公演『小津の國の妖術師』(2008年10月)に出させていただきました。

その時の思い出をいろいろ教えてください。

小川千晶 【小川】 殺陣をやるのが初めてだったんですよ。だから動きとか全然分からなくて。皆さんにいろいろ教えてもらいました。そのせつはありがとうございました!

あの時はアヤカシ(妖怪的なもの)だったから、長い爪を使った殺陣だったんですよね。

【小川】 はい。あれはおもしろかったですねー。めちゃめちゃ動きまくって疲れたけど、楽しいっていう気持ちのほうが大きかったです。

はじめてTCTの舞台に立ってみて、どうでしたか?

【小川】 なんか、こう…いろいろ熱い!って思いました。想像以上にパワフルでしたね。

ふみさんはどうですか?これまで何度もTCTと関わってきた中でのエピソードがあれば、ぜひ。

柏木史江 【柏木】 役者として…というより、スタッフとしての思い出になってしまうんですが。
最近は宣伝美術として、パンフレット用の写真撮影をお任せいただく機会が非常に多いんです。最初の頃は撮ら れるだけの側だったんですが。その写真撮影というのが、まるで毎回恒例のごとく、非常に過酷なシチュエーシ ョンでやるんです。やったら暑いところや寒いところで撮ったりとかね(笑)。
今でも覚えているのが、旗揚げ公演『躯』(2001年8月)で、舞台上で映像を使いましょうってことになって。そのとき、『砂地を走る足元の映像』が欲しいっていうことで、その映像を波板海岸(大槌町)まで撮りに行ったんです、みんなで。

わざわざ、足を撮りに(笑)。

【柏木】 そう。で、その日は確か、その年の最高気温を記録するぐらいの暑〜い日だったんですよ。そんな暑い中、皆で汗だらだらかきながら砂浜走って撮影したのに、本番でその映像がどこにも使われてなかった、っていう…(笑)。
あとはね、これまたパンフレット撮影で、雪の上に皆バタバタ倒れてもらったりとか。

それは、どの公演のパンフレットですか?

【柏木】 第4回公演『雲の流れ竜の乱れ』(2003年3月)ですね。私、この公演には出てないんだけど、パンフレット用の写真は撮らせていただいたわけなんですが。しんべえ(高崎美絵)さんが棒を華麗に振ると、みんなバタバタ倒れていくの。みんな、黒いうすっぺらい服しか着てないのに、そんな薄着で雪の上にバタバタと。

なんと過酷な!

【柏木】 ほんとにね、TCTの写真撮影は過酷なことが多くて面白い。
しかも、撮影待ちの人たちもみんな、その光景を傍らで見ながら「寒い、寒い」って言ってるの。まだ自分の撮影まで時間あるんだから、車の中で暖まってればいいのに(笑)。TCTのメンバー同士の絆をそこに垣間見ましたね。

「今回の芝居を観て“あー、またTCTに出たいなぁ”って思ったよ」って言ったら…

さて、先日の遠藤さんへのインタビューによると、お2人は今回の公演へのオファーを『ご快諾』くださったということなのですが…。

【柏木】 それはどうかな〜?(笑)

その遠藤さんの言葉は真実なのかどうかを、ちゃんとここで明らかにしておきたいと思いまして。

【柏木】 私は、『小津の國の妖術師』の打ち上げにお邪魔した時に、流れでそういう話になったんですよ。パンフレットの写真撮影で関わらせていただいていたので、そのご縁で打ち上げにも呼んでいただいて。で、「今回の芝居を観て、“あー、またTCTに出たいなぁ”って思ったよ」っていう話を何気なく遠藤さんにしたら、「じゃあ次回!」みたいなね、軽いノリで言われて(笑)。
『ご快諾』っていえばご快諾なんだけど、なんというか…よく分からないままに「じゃあよろしく」みたいな。

気づいたらこうなっていたと(笑)。ちゃっきーは?

【小川】 私は…、『私のじゃじゃ麺』(劇団モリオカ市民・2009年3月)を観に行ったら、遠藤さんにばったり会って。
そしたら、その場で「ちゃっきー、TCTに出ない?」って。

【柏木】 ナンパみたいだ(笑)。

小川千晶 【小川】 「ちゃっきー6月ヒマ?出ない?」みたいな感じで。
実はその前にも、『小津の國の妖術師』の打ち上げのときに、ばん(福士晴彦)さんに「またいっしょにやりたいね、やれたらいいよね」って言っていただいて、私もまたチャンスがあれば是非!って思ってましたから、「これはやるしかない」と。
それに、前回は役柄上、セリフもなかったので、機会があれば次はぜひセリフのある役で、TCTの皆さんとちゃんと絡んでみたいと思ってたところだったので。もう、まさに『ご快諾』でしたね。

ご快諾ありがとうございました!「遠藤さんの言ってたご快諾ってのは本当だったよ」ということが証明されましたね。

【柏木】 よかったね、疑いが晴れて(笑)。

ではそろそろ、出演を『ご快諾』いただいた今回の公演『腕呼争場』について聞いていこうと思うんですが。

【柏木】 脚本のページが徐々に増えてきたことにより、やっと全貌が分かってきた感じがしますね。
(※この時点では脚本がまだ全て完成していませんでした)

【小川】 そうですね。キャラクターが徐々に見えてきました。

稽古も日々着々と進んでいますが、手ごたえはいかがですか?

【柏木】 笑いの絶えない稽古場で、いろいろ大変です!というより、舞台上で笑わないようにするのが大変です!

そもそも、どうして笑ってしまうんですかね?

【柏木】 まず、脚本がね。「そう来るか!?」っていう内容ばかりで。こんなアホなセリフを、とことんマジメに言わなくちゃいけないっていうのが、なんとも可笑しくて…。で、それをまじめにやろうとすればするほど、それを見ながらゲラゲラ笑ってる人たちの姿が目の端っこに入ってきて、それがまた可笑しくて、負けちゃう(笑)。

では、ちゃっきーはどうでしょう。2度目のTCTですが。

【小川】 やっぱりおもしろいです。前回も面白かったけど、今回はもっと。なんていうか…天笊ワサビって、もっと真面目な人かと思ってたんです。でも、脚本が出来てくるにつれて、なんだかいろいろ面白いところが見えてきて…。おちゃめだなぁ、って思います。ワサビちゃん。

ちなみに今回、それぞれの役柄に『寒さに負けない』とか『爆裂娘』とか冠言葉がついてますが、それについてはどう思われますか?

【柏木】 『寒さに負けない』って事はさ、きっとこの先、そういう目にあうってことでしょ?(笑)ダッタンにはきっと、寒さに負けずに闘えるヒミツが何かしらあるんじゃないかと、勝手に思ってます。

では、ふみさん演じるダッタン猿橋さんは、どんな人だと思いますか?

柏木史江 【柏木】 んー…まじめな、超フツーの人と今のところは思ってますが、今後どうなるんでしょうかね。なんにしても、稽古中は舞台上でうっかり笑ってしまわないよう、肝に銘じて頑張ります。寒さに負けないっていうより、笑いに負けないように頑張っていこうと(笑)。
あと、「ダッタンは何が起こってもクールな人でいなきゃいけないんじゃないかな?」っていう思いは今のところあるんだけど、どうかな…。でもね、私、もともとそういう冷静沈着な人間じゃないものだから、非常に辛いです。おもしろいことに弱いので。

遠藤さんはこの間のインタビューで、ふみさんには『壊れ具合』を出してほしいとのことでしたが。

【柏木】 んー、なんていうか、本人は至って真面目にやってるんだけど、なんかいろいろ間違ってるよ!と(笑)。そういう壊れっぷりを求められているのかなーと思っています。「私はコレが正しい!」って思いながら間違っていくサマを…。

本人はまったくこれが当然だと思ってやってるんだけど…。

【柏木】 「ちょっと待って、おかしいよ!?」と(笑)。

では、天笊ワサビはどんな人だと思いますか?

【小川】 とにかく一直線だと思います。あまり細かいことを考えない感じかなぁ。あと、アツイ人ですね。

遠藤さんはちゃっきーに、『罠にはまったときの顔』を期待しているとのことですが、それについてはどうですか?

【小川】 んー、いまいちピンとこないんです、ごめんなさい(笑)。罠にハマったときの顔って…うーん。

物事に対するリアクションがすごくいいってことなのかと思うけど…。

【柏木】 なんか小動物の香りがするよね、ちゃっきーのリアクションは。見てておもしろいもん。その豊かな表情を、どんどん活かしていって欲しいということなのかな?

【小川】 なるほど!勉強になりました!

「えっ、ちゃっきーなの!?まじで!?」って(笑)

そんなワサビとダッタンは、なんと今回、同級生という設定なんですよね。

【柏木】 こんな年くった同級生で申し訳ない(笑)

【小川】 大丈夫です。私、精神年齢が32歳だって言われたことありますから!

【柏木】 そっか!なら、いけるね☆

役柄としては、同級生であり、友達でもあるお2人なんですが、では、素の柏木史江と小川千晶の関係性はどうなのかということで…。お互い、相手はどんな人だと思いますか?

小川千晶 【小川】 これまで共演歴はないんですよね。『小津の國の妖術師』のパンフレットの写真撮りのときに顔を合わせたぐらいで。
でも、ふみさんの出てる舞台を見たことはあったから、存在はもちろん知ってました。ラフな雰囲気なのに、ちゃんと存在感のある演技をする方なんだなぁ、って思います。すごい人ですよ、ふみさんは。本当に。

【柏木】 ちゃんと話したりするのは今回が初めてなんだけど、こんなに愉快な人だとは思わなかったです。
あと、ちゃっきーといえば、個人的にすごく印象的だったことがあって…。
『小津の國の妖術師』のパンフレットの写真撮影の時、ガッツリとメイクをした状態のちゃっきーを見て、すごく色っぽいなーと思ってたんです。キレイで大人っぽくて。で、違う機会にちゃっきーの素顔をはじめて見たときに、「えっ、ちゃっきーなの!?まじで!?」って(笑)。普段はこんな感じでキュートな女の子なんだけど、メイクするとすっごく雰囲気が変わる。その場に応じて、その場にふさわしい雰囲気をちゃんと出せる人なんだなって思いましたね。そういう切り替えがしっかりできるっていうのは、素敵なことだと思います。

では、最後に、『腕呼争場』にかける意気込みを聞かせてください。

柏木史江 【柏木】 えー、同い年の皆さんの若さに負けぬよう、私も若くありたいと思います。まずは、稽古中笑いません!(笑)そして本番でも絶対に負けません(笑)!本気で、逆にお客様を全身全霊で笑わせにかかります。そして、私が渾身を込めて作ったTシャツもぜひ買っていただきたい!

そうそう、ふみさんは今回、役者もやりつつ、宣伝美術もやりつつ、グッズも担当してくださってるんですよね。

【柏木】 そうなんです。しかも今回のTシャツは、なんと地色(布の色)が増えちゃった!50色以上あります、好きな色が選べます!!
そして、プリントのインクは、どんな地色にも合わせやすい白を採用。ここはぜひ、夏に向けてTシャツを買っていただきたい!

普段着としてお外にも着ていけるような、ナイスデザインですよね。

【柏木】 はい!是非観劇の記念にお買い求めください!!ほんとにね、普段着ても全っ然恥ずかしくないTシャツだと自負しております。

今回はTシャツ以外にもいろいろ作成予定だと伺いましたが。

【柏木】 そうなんです、ストラップとかタンブラーとか。ぜひ、観劇の記念に買って帰ってください。そして、今回もパンフレットを手がけさせていただきますので、そちらもじっくり観ていただきたい!

では、ちゃっきー。

【小川】 今回、念願叶って、セリフのある役でTCTに出させていただけることがすごく嬉しいです。全身全霊を込めて演じます。『爆裂娘』ということで、爆裂で頑張ります。「うざい!」って言われるぐらいコッテリいきますのでよろしくお願いします!

inserted by FC2 system