切なくて、読みながら泣きそうになります

高崎美絵・佐々木香織 高崎美絵・佐々木香織(リーディング舞台vol.1『たった一つの願い事』によせて/2009.9.26収録)

※インタビュアー:小笠原尚子    

リーディングは新鮮だし…難しい。

TCTリーディング舞台vol.1『たった一つの願い事』に向けての対談、その2です。
では、自己紹介からどうぞ。

【佐々木】 はい、佐々木香織(ささきかおり)です。22歳、今のところ最年少です。 入団して2年ほどです。スタッフは衣装メイクを担当してます。よろしくお願いします。

【高崎】 高崎美絵(たかさきみえ)です。『しんべえ』と呼ばれています。スタッフは衣装メイクです。 TCTの旗揚げメンバーで、ここ10年ぐらいTCTにずっといます。よろしくお願いします!

では、今回のオムニバス作品について、それぞれコメントをお願いします。

【佐々木】 しんべえさんは、今回の公演、どの作品を読むんですか?

【高崎】 あたしは、8本中6番目の『同棲』を。

【佐々木】 『同棲』は、ほぼ、しんべえさんが1人でずっと喋る感じなんですよね。

高崎美絵 【高崎】 そう、一人語りね。でも、一人語りなんてやったことないからさぁ…。 相手役の熊谷航くんの台詞がところどころで入るんだけど、でも、1人で喋り続けるところが圧倒的に多くて。それが新鮮だし…難しいよね。 言葉“だけ”で表現するって、すっごく難しい。小さい心の動きとかも、動きにほとんど頼らずに言葉だけで表現しようとすると、 「これ、本当にちゃんと伝わってるんだろうか?」って不安になる。

【佐々木】 航くんとの、舞台上での“恋人関係”はいかがですか?(笑)

【高崎】 航くんと?どうだろうねぇ〜(笑)。今のところ、もうちょっと仲良くなりたい感じだね。 読みの稽古も、今の時点では、やっとこさ3回くらい合わせたかなって感じなので、これからが勝負。もうちょっと、恋人感が伝わるようにしたいなーと。 あとは、最後まで私の声がもてばいいなぁ、と思う。ずっと喋り続けるのって、予想以上に喉に負担がかかるみたいで。最後のほうになるともう辛いんだよね。

【佐々木】 なるほどー。 一人語りといえば、ハリーさん(佐々悠)が読む『空』も、一人語りですね。 ハリーさんは本当に、いい声を持ってますよね。聞いてて心地いい。

【高崎】 うん。透明感があるよね。 『空』は、『同棲』よりももっと詩的要素が強いから。難しいよね。 「表現力が問われるなー」と思いながら、練習の様子をいつも見てます。

【佐々木】 そして、『ポジティ部』。…ギャグですね(笑)。

【高崎】 でもいいよね、ああいうのも絶対必要だよね。 『ポジティ部』『分析稼業』は、このラインナップの中には絶対に必要な話だと思う。 他のストーリーと比べると、ちょっと異色といえば異色だけど。

【佐々木】 他の作品がちょっと切な系なので、ここで笑いをドカンと!

【高崎】 笑いは必要だよー。あんまりこう、切ない話ばっかり聞いてるとさ、気持ちがすさむじゃない?(笑)一服の清涼剤だよね。

【佐々木】 じゃあ、『たった一つの願い事』。これは私たちも読み手として参加するんですが…。

【高崎】 うん。ガヤっていうか、まわりの人たちの声っていうか…そういう感じの役をやるんですが。あれはあれで、難しいよね。

【佐々木】 難しいですねー。何人かで同じ台詞を一緒に喋るっていうのもあるんだけど、それがまた難しい…。

【高崎】 お芝居だと、動きがあるっていうこともあって、「今だ!」っていうタイミングがつかみやすいんだけど、声だけだとちょっと悩むよね。 今はまだ、けっこう探り探りやってる感じ。 群唱(何人かで一斉に声を揃えて同じ台詞を喋ること)って難しいよね。今回ほんとにそう思った。

【佐々木】 ストーリー的には、すごく悲しくて切ない話なんですよね。 もう、弥生さんの演じる亜矢とか…ホントにもう、稽古を見てて、こっちが悲しくなってくる。

【高崎】 そうだよねー。 今回のラインナップは全般的に切ない系だから、聞いてても、自分で読んでても、すごく泣きたい気持ちになってくるんだよね。 『同棲』もね、感情を入れて読みたいんだけど、あんまり感情を入れすぎると泣いちゃうから…。

【佐々木】 やばい、呑まれる!みたいな。(笑)

【高崎】 何回も読んで慣れないとなーって。 さて、どうなの?『エール』は。

佐々木香織 【佐々木】 これは、尚さん(小笠原尚子)と私の2人芝居で。 尚さんと一緒にもっといっぱい稽古して、いろいろリンクさせていきたいなって。

【高崎】 あの話って、見てる側は、香織ちゃんの役も、尚ちゃんの役も、どっちの役の視点からも見られるっていうか。 辛い話でもあるけど、すごくいい話だよね。 やっぱり、生きてるとさ、いろいろ辛かったりする時もあるじゃん。 そういうときに、こんなふうに励まされたら、きっと前向きな気持ちになれるんじゃないかな。

【佐々木】 自分も、このストーリーと同じことをね、試しにやってみようかなって思っちゃいますね。

【高崎】 そうだね、やったらおもしろいかもね!

登場人物をついつい自分に重ねちゃって、ホロリとしちゃって。

では、自分の演じる役以外で、『一番やってみたい役』と『一番やってみたくない役』、そしてその理由をそれぞれ挙げてみてください。

【佐々木】 私は『分析稼業』ですね。あのテンションは、やってて楽しそうだなって。

『分析稼業』は登場人物が2人いますが、どっちの役をやってみたいですか?

【佐々木】 なつみさん(阿部菜摘)の役、南野主任ですね。…っていうか、×××(ネタバレなので伏字)がやってみたい(笑)。

しんべえさんはどうですか?

【高崎】 『たった一つの願い事』ワタセかなぁ。 あたしが読む『同棲』の、富由(ふゆ)と似たタイプで、難しい役だと思うのね。 どっちも、ずっとひとりで喋ってなきゃいけないんだけど、 富由にはちゃんと過去があって、気持ちの流れがちゃんとできてて、だけど一人語りだから難しいなーって思う。 でもワタセはいろんなことが謎に包まれてて、なんかこう、自分探しをしているみたいなところがあるから、難しいだろうなって。 でも、難しそうだからこそ、チャレンジしてみたいって思いますね。

では、やってみたくない役は?

【佐々木】 『ポジティ部』の2人ですかね。青春にどっぷり浸ってる青年独特の、ちょっと、こう、なんだろう…くさそうな感じというか(笑)。 むさいような感じはやっぱ自分には無理だろうなっていう。

【高崎】 あれは男子独特な感じがするよね。そしてあの若くてイタい感じがなんともね(笑)。

【佐々木】 イタさもまた青春として受け止めてしまう、まさにポジティブな感じがありますよね。

【高崎】 私は、『たった一つの願い事』の、聡介。悲しい気持ちになるから。 「何もできない」ってすごい悲しいし…。いろんな思いを残して、それでもなお、ずっと居続けるっていうのが、やっぱりなんか辛くて。

【佐々木】 でも、聡介も勿論そうだけど、亜矢も辛いだろうなって。ついつい自分に重ねちゃう。 練習見てるだけでも、ついホロリとしちゃって。

【高崎】 基本的に、あんまり悲しくなる役はやりたくないな(笑)。 聡介は、もう何もできない、何もしてあげられないわけで。それがもう、辛くてね。 それでも悔いが残らなければそれでもいいんだろうけど、悔いが残らないわけがないような気がして。 悲しくなりすぎるので、あまりやりたくないなぁーと。

【佐々木】 うん。いい話だけど、悲しい。自分もいつか、同じ立場に立ったら、聡介と同じように思うのかなぁって。

芝居をライフワークにしていけたらいいな、って。

では、今回のリーディング舞台のタイトルにひっかけて…お2人にとっての『たった一つの願い事』は何ですか?

【佐々木】 地球環境がよくなってほしい!

【高崎】 すごい、ワールドワイドだ! あたしは…ずっとこうやって、仕事をしながら、芝居を続けていければいいなと。

【佐々木】 やっぱり、ずっと盛岡に居たいですか?

【高崎】 うん、居たい。 やっぱり、今は今しかできない芝居があって、60歳とか70歳とかになったら、また、その年代にしかできない芝居があると思うので。 芝居をライフワークにしたいなっていうのは、思いますね。

では最後に。残りの稽古期間、そして本番、どんな意気込みで取り組んでいきたいですか?

【佐々木】 本番までもうすぐです。練習期間も残りわずかですけど、TCTなら大丈夫だと思います!絶対!!

【高崎】 うん!いいものを作れるように、頑張りましょう!!

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